2008年9月6日 まほろばロード「山の辺の道・北道の藤原町~東大寺」を歩く

今回の第4回フィールドワークは山の辺の道北道と言われる奈良市~天理市のうち「奈良市藤原町~東大寺」間を歩きました。天理市~桜井市間の山の辺の道に比べ古道の雰囲気が少ないといわれますが、歩いてみて必ずしもそうではない新鮮な発見もいろいろ。眺めのよいビューポイント、静かな山間の道、ワイルドな道なき道など結構変化に富んでいます。そして何より沿道の人々の花の庭など、手作りの景観が新しい山の辺の道つくりにもつながっていることを感じとることができました。

<集合日時・場所>
平成20年9月6日(土)9:20am 奈良交通藤原台バス停

<行程>
藤原台バス停~自衛隊射撃場前~仔鹿鹿園前~八坂神社~県道奈良名張線~白毫寺~カフェリノワ~新薬師寺~高畑~春日大社~二月堂~東大寺~県庁にて本日のまとめ

[人]
●奈良市景観課 徳岡健治さん
今回の資料のご用意と、全行程をご案内いただきました。

[面白発見]
●藤原町から八坂神社までの山間の道沿いに腐葉土無料の看板がありました=落ち葉等の受け入れビジネスのようで、同行の人は以前から知っていて、知る人ぞ知る存在のようです。荒れた竹林の竹なども引き取るのでしょうか。ボランティア活動等による竹伐採の必要性がある手付かずの竹林はここでも多くありました。竹は見ようによっては柳本町のようにまちおこしに利用価値のある廃棄するのはもったいない資源といえるでしょう。荒地を覆う葛などの蔓も同様です。

●八坂神社で参加者の人気を集めたのは古色蒼然とした大きな灯篭でした。その苔むした灯篭は覆いかぶさるような巨木に囲まれていて、心が落ち着く場所です。奈良の森林セラピー的な歩く会の立ち寄り先に最適な緑のゾーンの立地と思われました。

●奈良名張線を渡るまでの山の辺の道は、道の曲がり角の標識自体が草に埋もれ、下見に来てくださっていなければよほど探さないと迷ってしまうところでした。そこから先はしばらく道なき道になっていました。岩井川に古い橋が架かっていて、ようやくかつて往来のある道であったことが分かったワイルドな道もあり、今回参加した学生さんには大うけでした。以前は近隣のお年寄りなどが草刈奉仕などをされていたようですが、高齢化の波がここにも押し寄せています。でも、ピンチはチャンス。探検コースの設定などで、人が沢山歩いた後には道ができる。そんな仕掛けのある道つくりの企画もありかなといった話題にもなりました。

●高円山登山口のところには手作りの道標や〝欅(けやき)〟などの樹木の名称、池にも〝樋之口谷池(ヒノクチダニイケ)〟と振り仮名を振った、たぶん個人の方のもてなしの心を感じる案内板があって、思わず笑みがこぼれました。樹木や花は、ちょっとした遊び心のある説明があると、心と心をつなぐ大切な役割を果たしてくれるのを見逃せません。

[景観]
●八坂神社のある鹿野園町(ろくやおんちょう)の山の辺の道は、家々が競って花を植えておられるようで、山の麓までの緑と新興住宅街の境界が花で溶け合い、そこに現代版山の辺の道が形成されているような印象を受けました。無機質な金網の垣根も、花でもてなしの垣根にも変わるというのが実感です。

●白毫寺門前は民間の駐車場と荷物預かりが幅をきかし、門前の賑わいには遠い気がしました。

[体験]
●同じ白毫寺町のカフェリノワは築百年ほどの民家を改造したカフェで、寺から少し離れたところであるにもかかわらず口コミで大変にぎわっていました。古い日本の家の落ち着いたたたずまいに、つい長居をしてしまう客で賑わっている…そんな小洒落た感じのお店が支持されているのがいい感じです。現代版山の辺の道にぴったりの茶店といったところでしょうか。

[買物]
●昼食を楽しみにしていた高畑町の蕎麦屋さんは満席でした。お茶を炒る芳ばしい香りのするお店があったので茶粥でもと覗くと、現在はお茶の販売だけをされていました。元はやはり茶粥を出されていたそうですが、高齢で体が続かなくなったそうです。ほうじ茶を求めてきましたが、そのお茶をハイキングなどに持っていくと大変美味しく、以来自販機のお茶要らずです。リピーターとしてまたお茶を求めに立ち寄ることになりそうな気がします。

[調査のまとめ]
・歩く観光の振興を考える上で、山の辺の道北道のいちばんの問題点はトイレや休憩所が少ないというのが参加者の共通した意見です。
・眺望のよいビューポイントは結構あるのでハイキングのルート作りや、仕掛け作りの余地を秘めています。あまり知られていない憩いのアート館や、茅葺の古民家休憩施設などここに点在する面白スポットを線でつなぐまほろばロード策定のの可能性も感じられました。
・その仕掛けの一つとして鹿野園町(ろくやおんちょう)など、興味深い地名の由来の解説看板なども考えられそうです。その地の誇るような樹木や花、ちょっとした歴史遺産などの解説もあっていいでしょう。
・山の辺の道沿いをみんなできれいにという沿道の住民の方々のもてなしの心を多くの参加者が感じていました。遊び心で呼応していただけるような〝まほろばロード〟の活性化キャンペーンも考えていけるかも知れません。

次のまほろばロードは9月下旬に奈良市北部、平城宮跡~県庁を歩きます

謎のアート館謎のアート館

道なき道のかかる橋道なき道のかかる橋

手作りの標識手作りの標識