2008年7月5日 まほろばロード「柳本~三輪駅前」を歩く

前回の6月14日第二回フィールドワーク「柳本・黒塚古墳~石上神宮」に続いて、第三回フィールドワークは「柳本~三輪駅前」。今回、黒塚古墳はパスして崇神天皇陵から南へのコース。崇神天皇陵も前回とオーバーラップするが、案内人の桜井市立埋蔵文化財センターの橋本輝彦さんからお話を聞いた。前回お会いした柳本もてなしのまちづくり会 浜田守さんの畑も崇神天皇陵のすぐ脇だ。今日はおられないなと思っていると、その先の卑弥呼庵でわれわれ一行を待ってくださっていた。だんだん人の輪が繋がっていくのを感じながら、心を弾ませて「柳本~三輪駅前」を歩きました。

<集合日時・場所>
平成20年7月5日(土)9:30am JR桜井線柳本駅前

<行程>
JR柳本駅~卑弥呼庵~景行天皇陵~相撲神社~兵主神社~桧原神社~ホケノ山古墳~三輪座(JR三輪駅前)にて本日のまとめ

[人]
●室原慶和さん
今回のまほろばロードの縦糸は万葉歌碑の探索。郷土史と万葉文学に造詣の深い案内人室原さんから、万葉歌碑への揮毫を著名人に依頼時のエピソードを含めた解説は興味深いものでした。それにからむ横糸として、邪馬台国の最有力比定地纏向遺跡の中でも中枢部と考えられる「オザキバナ」では、風景観察を取り入れての解説もありました。山辺の道を歩くのは、単なる健康ウオーキングではない、足の裏にロマンがあるという室原さんの言葉が忘れられません。

●市立埋蔵文化財センターの橋本輝彦さん
最近、桜井の発掘の中心にいる方。卑弥呼の時代の紅花花粉の発見者。発掘された木片を繋ぎ合わせて鍬で出来た木製仮面であることを突き止めたのも橋本さんだと聞きます。

●卑弥呼庵・山東政幸さんと伊勢子さん夫妻
山東政幸さんは定年をきっかけに自宅をそのままおもてなし空間に改装して民宿ならぬ民喫茶を始められた。定年退職組の活躍舞台である柳本もてなしのまちづくり会のシンボルのような方。奥様はもともとお茶の先生で、卑弥呼庵の和菓子つき抹茶は伊勢子さんのお手前だ。珈琲とフレッシュを茶せんでたてた和風珈琲も遊び心十分。伊勢子さんの手になる「つるかご細工」のバリエーションも茶の道に通じる花かごを発展させたものです。

前回のまほろばロードで再会を約束した、見晴らしの良い畑にもてなしベンチを作っておられる浜田守さん(柳本もてなしのまちづくり会)も卑弥呼庵で待っていてくださり、山辺の道を媒介とする定年退職者のネットワークが発展すれば、まだまだやれることは一杯あるといった話も盛り上がりました。もてなしのまちづくり会は、楽しめる範囲、遊べる範囲で続けるのが真骨頂で、例えば華炭を東京で売らないかとの誘いも断ったそうです。いくら売れるからといって、売れるものを作るために働く、という意識になると続かない、続くことが活気の元というスタンス、大いに学ぶところがあると感じました。

●奈良植物研究会の吉堂 求さん
奈良植物研究会に所属しておられ、森とふれあう市民の会の「鎮守の森を観にいこう会」の植生解説者として名物的存在。今回も独自の視点から解説いただきました。植生からみると古墳の整備はそんなに古い時代ではないことがわかるとか。荒地には蔓性植物がはびこるとの指摘には、柳本では伐採した竹を炭にすることで事業が立ち上がったように、蔓の活用法を考えてみるのも面白いかもという声も上がりました。

●桜井市観光課松本美智代さん
豊富な資料をご用意いただき、今回のメイン万葉歌碑などのご案内をいただきました。

[景観]
●崇神稜で橋本さんの解説です。研究者の間では天皇陵は確たる証拠が出て裏づけが無い限り地元の伝承に基づく呼称に従うとか。崇神稜は行灯山古墳と呼んでいます。これまでの研究成果によれば、箸墓古墳のほうが、まだ崇神稜である可能性があるというのは興味深いお話でした。

●それでは卑弥呼の墓は?というのが興味の的になります。ホケノヤマ古墳から巻向古墳群を見晴らしながら、橋本さんはこれらのどれかではあろうが、これからの発掘に乞うご期待ですねとのことでした。

●同じくホケノヤマ古墳から纏向遺跡を見晴らしながら橋本さんの解説です。3世紀の纒向は出土物から見て、今東京に各県の出張所や外国の大使館があるような当時の国際化された首都だったことが伺えるとか。出土物が10あれば3はよその地からのものだといいます。従って研究者の間では邪馬台国はこの辺りにあったとする説で固まりつつあるようです。

●紅花花粉を発掘したのも橋本さんでした。紅花も外来のものであり、国際都市だったことの裏づけの一つだといいます。

●相撲神社の景観については、2,000年前せっかく能見宿禰(のみのすくね)が、当麻け速(たいまのけはや)を天覧相撲で破った場所という伝承の地であるにもかかわらず、せっかくのものが生かされていないという印象を参加者の多くがもっていました。“相撲発祥の地”というのは今さらかもしれないが・・・語り部に適した面白い素材としてもっと吟味してみてもいいはずです。(土舞台の顕彰方法として篝能が毎年催されているように、何かイベントを行う余地があるかも、と桜井市観光課松本美智代さん)

[体験]
●山辺の道沿いでみかんの木のオーナー制をされている観光農園があったが、名産の柿の木のオーナーもあってよいのではと思われました。(五條-西吉野-では柿オーナーが盛ん。)

[買物]
●野菜の無人販売所が多くありました。品揃えの管理が必ずしも行き届いているとはいえません。その中で、高齢のおばあちゃんが野菜の調理法なども教えながら売っていたのに好感をもった参加者が多くいました。

[調査のまとめ]
万葉歌碑巡りが今回の大きなテーマでしたが、歌碑を味わうことが出来るのは今回のように案内人がいてこそといえます。歌碑そのものは必ずしも目に付きやすくはありませんでした。語り部の必要性は参加者の誰しもが一致するところです。三輪地域では今三輪駅前に「絵解きの観光と歴史のもてなし看板」の企画が進んでいるとの報告がありました。三輪でもやはり語り部の必要性について論議が高まっており、柳本での地道な勉強会は大いに参考にさせてもらいつつ、例えば「三輪検定」のようなアイデアもあるとのことです。

次のまほろばロードは9月上旬に山辺の道北部、藤原町~県庁を歩きます。

万葉歌碑のある歌の現地で調査万葉歌碑のある歌の現地で調査

自宅をそのまま改装した喫茶店「卑弥呼庵」自宅をそのまま改装した喫茶店「卑弥呼庵」

野菜の無人販売所野菜の無人販売所