【飛鳥】明日香の歴史的景観を支え続ける「農」に都市のエールを!「棚田オーナー制度」

10余年を経過した奥飛鳥・稲渕の棚田オーナー制度

明日香は、我が国の律令国家体制がはじめて形成された時代の政治・文化の中心地で、村内には石舞台、高松塚、キトラ等の古墳や亀形石造物など数多くの歴史的遺産がちりばめられており、周囲の自然環境と一体となった歴史的景観は、「日本人の心のふるさと」として親しまれている。
しかしその一方で、農村地帯としての明日香村は日本の他の農村例にもれず、過疎化や高齢化が進んで荒廃農地が目立ってきているのが実情。放置すれば心のふるさとの景観が台無しになることが危惧される。明日香の景観を守るためには、あらゆる角度から「農業」を見つめ直す必要があった。

通い農民にとって景観の価値、地元にとっては棚田保全の価値

このような背景から、大型農機が使えない棚田を多く抱える奥飛鳥の稲渕では自らの生きる道として「農」を通じた都市との共生を選択し、負担と喜びを共に分かち合える「あすか棚田オーナー制度」を1996年度よりスタートさせた。都市の人々にとっては四季の美しさが競う日本の「原風景」であり、1300年もの昔鵜野讃良皇女(うののさららひめみこ:後の持統天皇)も吉野通いに通ったであろう古道を見下ろす棚田の魅力が満喫できるだけでも魅力があり、初年度たった30区画のオーナー募集に対して1000件近い問い合わせと、240件もの応募があったという。以来10余年、地元の農家のインストラクターに指導してもらいながら、通い農民である都市住民が米作りに勤しみ、両者がともに汗を流しす中で、奥深い農体験を都市の住民に提供してきている。また地元としても村の労働力不足を都市住民の参加で補うことで、棚田独特の美しい景観の保全に役立てるという相互関係が成り立っているといえる。

密度の濃いグリーンツーリズムのこれから

1区画30アールの棚田を年間4万円で借り、地元インストラクターの指導を受けながら、田起こしから、畦塗り、田植え、草取り、稲刈り、はざ掛け、脱穀、わらを束にして積み上げるすすき作りまでの米作り全プロセスを体験、秋には50~60kgの収穫を玄米持ち帰ることが出来る。
グリーンツーリズムの一つに数えられるが、観光農園とは一線を画す密度の濃い取り組みとして、オーナー全員にユニークな案山子作りを課し、彼岸花祭りで一般観光客の投票による案山子コンテストを実施するなど、春のれんげ祭りから秋の収穫祭まで、年中さまざまな行事が絶えない10年を経過。インストラクターの高齢化がさらに進む中で自家の農業とオーナー指導やイベントの世話役の両立が難しくなりつつある。
NPOによる運営サポートの導入など、地元の労力負担の軽減、さらにはインストラクターの世代交代の促進にもつながる、農家の次世代にも魅力的なオーナー制度へのイメージ刷新が模索されつつある。

あすか夢耕社 http://yume9200.jp/tanada.htm

苗代つくり苗代つくり

田植え田植え

刈り取った稲のはざ掛け刈り取った稲のはざ掛け